いま話題になっている映画『グリーンブック』を見て来ました。最近は、『GREATEST SHOWMAN』とか『ボヘミアン・ラプソディ』、『アリー/スター誕生』といった、音楽に重きを置いた映画にはまっていたので、普通の映画は久しぶりです。
面白かったですね。見たほうが良い映画です。
映画『グリーンブック』
この物語は、アメリカでの黒人差別に関するストーリーです。
天才黒人ピアニストであるドクが、粗野な白人ドライバー(用心棒)トニーを雇って、各地でコンサートをしながらアメリカ南部を旅するストーリーになっています。
映画のタイトルになっている『グリーンブック』とは、黒人旅行者にサービスを提供する宿泊施設やレストラン等をまとめた本のことです。
グリーンブックは本当に刊行されていたようで、黒人の中流階級が出てきて自動車を所有するようになった頃に、ホテルに泊めてもらえない・ガソリンスタンドで給油を拒否されるといった事例が頻発していたため、黒人旅行者にサービスを提供する施設がまとめられたそうです。ひどい話ですが、わりと最近の話でもあるようです。
映画『グリーンブック』は、こうした黒人差別に対する示唆がたくさん詰まった映画になっていますが、ちょっと違う観点から見ても面白いです。
白人ドライバー「トニー」のキャラクター
黒人天才ピアニストのドクと一緒に旅をする白人ドライバー兼用心棒のトニーですが、彼のキャラクターがとても魅力的で、SNSの発信なんかで参考にできそうだなと思いました。
突飛で粗野だけど行動力はあって、自分のペースに周囲の人間を巻き込んでいくタイプ。
ダメでだらしない所もたくさんあるけど、信念を持って物事をハッキリ言うタイプ。
あまり言うとネタバレになりそうなので控えますが、こんな感じの魅力的なキャラクターで、周囲の人は彼に影響されていくんですよね。
この、周りを巻き込めるスキル・キャラクターは、現在のSNS社会においても強い個性になり得ます。
もちろん、トニーは意識してそんなことしているわけではないでしょうが、SNS上であれば、意識してトニーみたいなキャラクターを作り上げてしまい、そういうアカウントを運用することは可能です。
魅力的で周りを巻き込むキャラクターは、SNS上では多くのフォロワーを獲得して影響力を持ちます。これは、現代社会においては強力な個性です。
自分の見方次第で世の中は変わる
もう1つ面白い観点があります。
映画『グリーンブック』は、すごいスケールで国とか世間を変えていく!みたいな映画ではありません。どちらかというと、主人公とその周囲で葛藤するような映画です。
なので、この映画の序章部分と最後を比べても、当然ですがアメリカという国も世の中も、特に何も変化はありません。
特に何も変化はないのですが、黒人天才ピアニストのドクは、物語の序章部分と比べて、最後のほうが良い表情をしています。
これって結局、自分の周囲の狭い環境に少し変化が現れて(この映画の場合だとトニーの存在)自分にとっての、狭い世界の見え方が変わったことによる変化なんですよね。
なにが言いたいかと言うと、現在の自分に見えている世界はとても狭くて、少し環境が変わるだけで見え方が全然変わってくるよということです。
例えば、小学生にとっては、家庭と学校の教室が世界の全てです。だから、学校でいじめられたりすると、世界の半分がイヤな事で埋め尽くされるので、絶望して自殺してしまったりします。
しかし、世の中からいじめという問題自体は無くならないにしても、転校して環境を変えるだけで、もしかしたら世界は明るいものになるかもしれません。
本当は世界は広くて、小学校なんてたくさんあるし、小学校へ行かずに過ごす方法だってたくさんあります。ですが、小学生の子どもにとっては、学校は必ず行かないといけないもので、簡単に転校なんて出来るものではないわけです。そういう世界しか知りません。
そういった物の見方を少し変えるだけで、悩みがなくなったり、幸せに近付くというケースは、小学生に限らずたくさんあるかと思います。
ドクがトニーとの旅を通じて変わったように、考え方1つで人は変われるのです。
この気付きを与えてくれた点で、わたしは『グリーンブック』は特に良い映画だと感じたし、多くの人が見てくれたらいいなーと思いました。